2011年08月24日
建築探訪 ~「栄螺堂(さざえどう)」
こんにちは!菊池建設の sugar こと、相川正也です。
さて、様々な有名著名な建築物が我が国日本にも数えきれないほどあるわけですが、今回から時々はその中でも「おっ!これは!」という建築物をご紹介して行きたいと思っています。
そして、それを通して、日本の木造建築の奥の深さを知っていただけたら・・・と思います。
で、記念すべき第一回の建物は・・・
福島県会津若松市の飯盛山西山麓にある『栄螺堂(さざえどう)』という建物です。
会津の飯盛山といえば、あの「白虎隊」が集団自決をした場所としても有名ですね。

これは写真を見ておわかりのように、一見すると普通の5重の塔のようですが、裏へ回ってよく見るとなんとも奇妙な形をしているのです。まさに、貝の一種のあの「さざえ」のような・・・

この外観が「栄螺(さざえ)」のようであることから、『栄螺堂』と名付けられたわけですが、面白いのは日本各地に点在する他の「栄螺堂」が平面で見ると四角形となっているのと異なり、1辺が3.4mの六角形であることです。
これがそのまま塔状に建っているわけです。しかも、建物内部は堂内の通路が全てスロープになっていて、さらにそれが二重螺旋(らせん)という凝りようなのです。
もう少し詳しく言いますと、堂の内部は、右回りに上る斜路と、左回りに下りる斜路からなる二重螺旋(ダブルスパイラル)を構成しているのです。
つまり、正面の入り口を入って外壁に沿って右回りに螺旋状に斜路を1回転半回りながら上って行き、最上部で堂の中心をまたぐ太鼓橋という部分を渡ると、そのまま自然と左回りに螺旋の斜路を下って行くようになっており、これまた1回転半回りながら下りて行けば、気が付くと背面の出口に到達するというわけです。
上りに1回転半、下りに1回転半、合計で3回転!!
しかも、一方通行なので、他の参拝者とすれ違うことがないという造りなんです。
まさに、忍者屋敷さながらの「からくり建築」なのです。セッシャー1!

つまり、このお堂は、入り口から出口まで同じ通路を通ることなく、堂内を一巡できるという摩訶不思議な仕掛けになっているわけで、以前はこの一連の斜路の壁面のいくつかをへこませていて、そこに西国三十三ヶ所の観音像を祀っていたのだそうです。
そして、上り下りの通路を一巡すると自然とその三十三の観音様に出会うわけで、これが西国三十三観音礼所を巡礼したのと同等のご利益にあずかることができたという、まさに「シンプル イズ ベスト」「楽が一番」が好きな参拝者にはありがた~い観音堂であったのです(笑)。
ちなみに、この「栄螺堂」は江戸時代末期の1796年の建立とされてますから、今から215年前の建物です。
「栄螺堂」というのは通称で、正式名称は『円通三匝堂(えんつうさんそうどう)』といいます。「三匝」とは3めぐりという意味だそうです。
前述したように、上って1回転半、下って1回転半、合計3回転するので、「三匝」というのはここから来ているわけですね。
高さは16.5mですから、ほぼ5階建てのビルと同じくらいの高さです。
当時の住職であった「郁堂(いくどう)」というお坊さんが設計したとされていますが、そんな昔のコンピューターもCAD図面もなかった頃に、こんな複雑な構造の建物を設計しちゃうなんて、すごい頭脳の持ち主だったんですねぇ、郁堂さんって!

興味深いことには、この変てこで奇妙な形の建物、つまり二重螺旋というアイディアは、古くはあのレオナルド・ダ・ビンチのスケッチ帳にも見られるという点です。
16世紀前半に築城されたフランスのシャンボール城の中心階段にこの二重螺旋が組み込まれており、それはこのダ・ビンチの構想によるものだと言われているのです。

<シャンボール城の二重螺旋階段>
だとすれば、この日本の会津の「栄螺堂」のルーツは、もしかしたら天才レオナルド・ダ・ビンチであったかもしれないという仮説を立てることができますよねぇ。(あくまでも仮説で、証拠はありませんが)
なんともロマンあふれるお話しではありませんか!
閑話休題!

最後に余談ですが、ここ会津には『栄川(えいせん)』という美味しい日本酒があるんです。
もしも、会津へ行って『栄螺堂』を見学する機会があったなら、是非このお酒も試してみてはいかがでしょう・・・
喉越し爽やかでフルーティー。病みつきになりますよー。
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さて、様々な有名著名な建築物が我が国日本にも数えきれないほどあるわけですが、今回から時々はその中でも「おっ!これは!」という建築物をご紹介して行きたいと思っています。
そして、それを通して、日本の木造建築の奥の深さを知っていただけたら・・・と思います。
で、記念すべき第一回の建物は・・・
福島県会津若松市の飯盛山西山麓にある『栄螺堂(さざえどう)』という建物です。
会津の飯盛山といえば、あの「白虎隊」が集団自決をした場所としても有名ですね。

これは写真を見ておわかりのように、一見すると普通の5重の塔のようですが、裏へ回ってよく見るとなんとも奇妙な形をしているのです。まさに、貝の一種のあの「さざえ」のような・・・

この外観が「栄螺(さざえ)」のようであることから、『栄螺堂』と名付けられたわけですが、面白いのは日本各地に点在する他の「栄螺堂」が平面で見ると四角形となっているのと異なり、1辺が3.4mの六角形であることです。
これがそのまま塔状に建っているわけです。しかも、建物内部は堂内の通路が全てスロープになっていて、さらにそれが二重螺旋(らせん)という凝りようなのです。
もう少し詳しく言いますと、堂の内部は、右回りに上る斜路と、左回りに下りる斜路からなる二重螺旋(ダブルスパイラル)を構成しているのです。
つまり、正面の入り口を入って外壁に沿って右回りに螺旋状に斜路を1回転半回りながら上って行き、最上部で堂の中心をまたぐ太鼓橋という部分を渡ると、そのまま自然と左回りに螺旋の斜路を下って行くようになっており、これまた1回転半回りながら下りて行けば、気が付くと背面の出口に到達するというわけです。
上りに1回転半、下りに1回転半、合計で3回転!!
しかも、一方通行なので、他の参拝者とすれ違うことがないという造りなんです。
まさに、忍者屋敷さながらの「からくり建築」なのです。セッシャー1!

つまり、このお堂は、入り口から出口まで同じ通路を通ることなく、堂内を一巡できるという摩訶不思議な仕掛けになっているわけで、以前はこの一連の斜路の壁面のいくつかをへこませていて、そこに西国三十三ヶ所の観音像を祀っていたのだそうです。
そして、上り下りの通路を一巡すると自然とその三十三の観音様に出会うわけで、これが西国三十三観音礼所を巡礼したのと同等のご利益にあずかることができたという、まさに「シンプル イズ ベスト」「楽が一番」が好きな参拝者にはありがた~い観音堂であったのです(笑)。
ちなみに、この「栄螺堂」は江戸時代末期の1796年の建立とされてますから、今から215年前の建物です。
「栄螺堂」というのは通称で、正式名称は『円通三匝堂(えんつうさんそうどう)』といいます。「三匝」とは3めぐりという意味だそうです。
前述したように、上って1回転半、下って1回転半、合計3回転するので、「三匝」というのはここから来ているわけですね。
高さは16.5mですから、ほぼ5階建てのビルと同じくらいの高さです。
当時の住職であった「郁堂(いくどう)」というお坊さんが設計したとされていますが、そんな昔のコンピューターもCAD図面もなかった頃に、こんな複雑な構造の建物を設計しちゃうなんて、すごい頭脳の持ち主だったんですねぇ、郁堂さんって!

興味深いことには、この変てこで奇妙な形の建物、つまり二重螺旋というアイディアは、古くはあのレオナルド・ダ・ビンチのスケッチ帳にも見られるという点です。
16世紀前半に築城されたフランスのシャンボール城の中心階段にこの二重螺旋が組み込まれており、それはこのダ・ビンチの構想によるものだと言われているのです。

<シャンボール城の二重螺旋階段>
だとすれば、この日本の会津の「栄螺堂」のルーツは、もしかしたら天才レオナルド・ダ・ビンチであったかもしれないという仮説を立てることができますよねぇ。(あくまでも仮説で、証拠はありませんが)
なんともロマンあふれるお話しではありませんか!
閑話休題!

最後に余談ですが、ここ会津には『栄川(えいせん)』という美味しい日本酒があるんです。
もしも、会津へ行って『栄螺堂』を見学する機会があったなら、是非このお酒も試してみてはいかがでしょう・・・
喉越し爽やかでフルーティー。病みつきになりますよー。
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