2012年05月20日
塗り壁のはなし ③
では、今日は前々回に続いて「塗り壁」の代表的な種類とその特徴とともにご紹介しましょう。
「塗り壁」には「漆喰(しっくい)」「土壁」「繊維壁」などに分類されますが、前回は「しっくい」と 「土壁」をご紹介しました。
その続きです。
◆「繊維壁(せんいかべ)」

繊維壁とは、パルプや紙繊維、化学繊維などを糊で混ぜて水で練ったものを塗った壁です。
ソフトな感じに仕上がるという特徴があり、吸音性や調湿作用もあり、また施工もしやすいという長所がある一方、背中をこの壁にもたれかけるとボロボロとはがれ落ちることが多く、耐久性には難があるため、最近は用いられることがめっきり少なくなってしまいました。
◆「ジョリパット」

ジョリパットとは、アクリル系壁仕上げ材の商品名(「アイカ工業株式会社」)で、内外装ともに 施工することができるため、守備範囲が広くここ最近では多用されることの多い部類の壁仕上げ材です。
粘りのある特性を生かし、コテやローラー模様などの他、水で薄めることにより、吹き付け仕上げも可能な自由度の高い材料です。
色褪せしにくく、色合いや質感を長時間保持する高い耐久性を持つので、塗り替え回数が少なくて済み、メンテナンス費用があまりかからない経済的な素材と言えます。
防藻・防カビ性能が高く、キズがつきにくいのも特徴です。色のバリエーションも豊富です。
< 塗り壁の下地について >
塗り壁の施工は、昔の本来の工程は、土壁の下地として、竹を縦横に組んで縄で固定した「竹木舞(たけこまい)下地」が主流でした。
その竹木舞下地の上に下塗り・中塗り・上塗りと、時間をかけて乾燥させながら何度も塗り重ねて行くやり方でしたので、相当な工事期間を必要としました。完成まで1年半なんていうお宅も 以前はけっこうあったのです。
しかし、さすがにそんなに長い工事期間では困るというお客様の方が多数です。
そこで最近では、その「竹木舞」の代わりに「ラスボード」という表面にえくぼ状の凹凸がある石膏ボードを張り、それにモルタルを下塗りとして塗り、仕上げに「しっくい」や「じゅらく」や「珪藻土」を塗るというのが一般的となり、工事期間もかなり短縮化できるようになりました。
< 塗り壁にするにあたって >
「塗り壁」とはすなわち「水」を使った「湿式工法」だと前に述べました。
さらに、塗り壁自体が自然素材であることが多いため、どうしてもクラック(ヒビ割れ)やチリ切れ(柱などとの間に時間の経過とともに隙間が生じること)が起こることがあります。
工業製品と違って、均一ではないのでこういうことが起こり得るのだ、ということを承知の上で 使うようにしましょう。
それでも、自然素材にしか出せない味わいというものがあります。
それを楽しむくらいの心のゆとりを持ちたいものです。
最近は短期間の工事期間で家を建てるのを最優先としている工務店も多くなりました。
その方が次の現場に取り掛かれるからです。
つまり、「塗り壁」よりも「ビニールクロス張り」の家が多くなっているのです。
しかし、お客様にとっては「家づくり」は一生に一度かもしれない大事な事柄です。
私ども菊池建設では、工事期間の長短も大事ですがそれよりも後々そこに住まうお客様が満足できる家づくりを重視した提案をしております。
ですから、弊社で建てていただくお住まいは、床は無垢の一枚板に壁は塗り壁を多用してくださるケースが多いのかもしれません。
「仕上がりの質感」を大切にしていただいている結果だと思います。
(以上、 sugar こと 相川正也 でした。)
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Posted by スタッフブログ『ひのき同好会』 at 11:03│Comments(0)
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