2011年09月22日

建築探訪 ~「法隆寺(ほうりゅうじ)」その3

こんにちは!菊池建設の sugar こと、相川正也です。

日本中の建築物の中から「おっ!これはっ!」というモノを紹介する建築探訪の第四回目は、 前回に引き続き、奈良の「法隆寺(ほうりゅうじ)」を取り上げてみたいと思います。

前回の「建築探訪」では、法隆寺の中でも一際目を引く、「五重塔」についてご紹介しました。


今回は、法隆寺に古くから伝わっている「七不思議」についてご紹介します。

「法隆寺の七不思議」とは・・・
 ① 南大門の前に「鯛石(たいいし)」とよばれる意味不明の大きな石がある。
 ② 法隆寺には蜘蛛が巣を張ったことがない。
 ③ 雨だれが穴をあけるべき地面に穴があかない。
 ④ 法隆寺の「因可池(よるかのいけ)」にいる蛙には片目がない。
 ⑤ 五重塔の上に大鎌がささっている。
 ⑥ 夢殿の「礼磐(らいばん:坊さんがすわる石)」の下に汗をかいている。
 ⑦ 不思議な「伏蔵(ふくぞう)」という隠された蔵がある。

さて、ここでもう一度歴史を振り返ってみますと、聖徳太子の子である「山背大兄皇子」(やましろのおおえのおうじ)は有力な天皇候補の一人でしたが、この「山背大兄皇子」とその一族25人は、別の天皇候補を擁立する「蘇我入鹿」(そがのいるか)に殺されて、その血筋は絶えてしまいます。
さらに、その「蘇我入鹿」は「中大兄皇子」(なかのおおえのおうじ)と「中臣鎌足」(なかとみのかまたり)によって滅ぼされます。ご存知、『大化の改新』ですね。
この「中臣鎌足」は別名「藤原鎌子」(ふじわらのかまこ)といい、後の日本史をある意味操って行く「藤原家」のご先祖です。
『隠された十字架 法隆寺論』を著した哲学者・梅原猛はその一連の流れを藤原氏の謀略と位置付け、法隆寺は子孫を殺された聖徳太子の怨霊を封じるための鎮魂の寺だと論じました。

一族を謀略によって滅ぼされ恨みを持って亡くなった聖徳太子の怨霊を恐れた藤原氏が、この法隆寺を建てたのだと考えると、「法隆寺」の多くの謎を解く鍵になりそうなのです。

************************************************************
建築探訪 ~「法隆寺(ほうりゅうじ)」その3
【鯛石】

さて、①の「鯛石」ですが、これは南大門の石段下にある、長さ2m×幅1mの魚の形をした踏み石のことを指します。一見すると魚の形には見えないのですが、法隆寺創建当時はもっと鯛の形をしていたのかもしれません。長い歴史の間に多くの人々によって踏まれるうちにこのような形になって行ったのかなぁ。
昔、大和川が氾濫して、大和の国が大洪水に見舞われた時でも、この「鯛石」のところまでは水が来たのですが、境内には入らなかったと云われていて、そこまで鯛が泳いできたことを示したものだという伝説が残っています。ちなみに、この位置の標高は海抜51.1メートル、大和川堤防は44.6メートルで、標高差6メートル余りあるので、この伝説はまんざら嘘でもなさそうですね。

②の蜘蛛が巣を張ったことがない・・・は、結論から言えば迷信です。
たぶん、蜘蛛でさえ、太子にはばかって巣を張らなかった・・・と、聖徳太子の遺徳を称えその魂を鎮めるために、このような伝説が残ったのでしょう。
当たり前ですが、実際は蜘蛛の巣はあります。(笑)

③の雨だれの跡についてですが、金堂、講堂、五重の塔など、法隆寺のどの建物にも雨樋がありません。屋根の面積が大きく、雨が降れば、大きな雨だれが落ちるのですから、普通は雨だれの跡ができそうなものですが、実は法隆寺では、雨だれが落ちる部分に境内の砂利石よりも大き目の石を敷き詰めているので、雨だれの跡が確認しにくいのです。でも、物理的に雨だれは落ちるわけなので、よく見れば大き目の石が敷いていない場所では確認できます。
(下の写真参照)
どうやら、聖徳太子がこの法隆寺を創建する際に、場所をどこに定めようかと考えた折、「雨だれも地をうがつことのないくらいに固い地盤の地を選んだ」という、これもまた太子の思慮の深さを称えた伝説だと言われています。
建築探訪 ~「法隆寺(ほうりゅうじ)」その3
【雨だれの跡】

④には、こんな言い伝えがあります。
西院から東院にいたる石畳の右奥のほうに「因可池(よるかのいけ)」があるのですが、聖徳太子が学問をしていたところ、ここの池の蛙の鳴き声がうるさいので、筆の先で蛙の片目をついたところ、池の蛙のすべてが片目になったというのです。
これも太子の偉大さを後世に伝えることによって、怨霊を鎮めるという風に解釈できます。
プロレスでは、この目を突くという所作は「サミング」と言い、明らかに反則技です。(笑)



さてさて・・・

「七不思議」の内4つをご紹介しましたが、ここから先の3つが個人的には非常に興味をそそられる「謎」です。

長くなりそうなので、これについては次回にご紹介したいと思います。
お楽しみに・・・

それにしても、他のお寺にはあまり聞くことのない「七不思議」・・・
これを見ても、「法隆寺」が特別な存在であることを感じさせます。

ここにもロマンが溢れていますねー。
.




同じカテゴリー(sugar)の記事画像
なぜ心地よいのか?
珍しいお酒
心地よくなりたい?
容疑者と被疑者
7と8
奇跡の数字
同じカテゴリー(sugar)の記事
 なぜ心地よいのか? (2015-06-03 11:00)
 珍しいお酒 (2015-06-01 21:10)
 心地よくなりたい? (2015-05-26 23:20)
 容疑者と被疑者 (2015-05-19 22:42)
 7と8 (2015-05-10 11:00)
 奇跡の数字 (2015-04-30 18:07)

Posted by スタッフブログ『ひのき同好会』 at 22:22│Comments(0)sugar
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
建築探訪 ~「法隆寺(ほうりゅうじ)」その3
    コメント(0)